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白内障手術

日帰りで白内障手術に対応

海外では既に主流となっている「日帰り白内障手術」は、日本でも対応件数が増加してきました。日本において、眼内レンズ手術は1992年に健康保険適応となり、2019年には190万件(単焦点180万件、多焦点10万件)の手術が行われました。白内障手術は、日帰りでも安全にできるように、各施設で様々な取り組みが行われています。安全な手術を行うためには、患者さん自身の協力もとても重要です。丁寧にご説明致しますので、良い結果が得られるよう一緒に頑張りましょう。

詳しくはこちら

白内障手術の流れ
(ご予約から
アフターフォローまで)

1手術前の検査

診察を行い白内障手術の方針になると、まず術前検査を行います。
眼内レンズの度数を計算するために、角膜径や眼軸長を測定し、角膜内皮細胞数も測定します。また、採血を行い感染症のチェックや白内障手術に支障となる全身疾患がないかも確認します。

2術前準備

手術当日、予定手術時間の1時間前に来院頂きます。手術前の飲食の制限は有りません。手術開始前より点眼麻酔を開始し、出来るだけ痛みを感じないように配慮しています。散瞳点眼を行い、目の周囲をヨード消毒液で清潔にして、無菌化を行います。

3手術室入室

手術室に入り、ベットに仰向けになり、顔に清潔な敷布をかけて手術開始します。手術中は、血圧や血中酸素濃度を測定し体調が問題ないか常に確認しています。リラックスできるBGMを聴きながら手術を受けていただけます。手術する眼は、顕微鏡の光で常に照らされているため、眩しいですがメスなどが見えることはありません。局所麻酔の手術に不安を感じる方は多いですが、医師・看護師が頭元に常に居ますのでご安心下さい。手術中に何かありましたら、お声を掛け下さい。手を止めて、その都度対処いたします。

4切開

角膜周辺部を2.2mm幅の切開を行い、眼内に器具を入れる道を作ります。切開幅が小さく、自然に傷が閉じるように工夫して切開するため縫合は必要ありません。

5水晶体前嚢切開

白内障の濁りは、水晶体の嚢の中にあるため、水晶体嚢の前面を破く必要があります。水晶体嚢を綺麗に丸く切り取ると眼内レンズの固定が安定するので重要な手技の一つです。水晶体嚢の後面が破けてしまうと、目の奥に中身が落ちてしまい眼内レンズが入れれなくなってしまうことがありますので慎重に行ないます。

6超音波吸引

白内障の原因である混濁した水晶体を除去する手技です。水晶体は硬くて大きいためそのまま取り出そうとすると、大きな傷を作る必要になります。眼内に超音波を発生させる器具を挿入し、超音波の力を使って眼内で水晶体を細かく砕きます。砕いたカケラを吸引で除去することで小さな切開から、大きな水晶体を取り出すことが出来ます。

7眼内レンズの挿入

眼内レンズの大きさは13mm程あるため、2.2mmの切開からはそのままでは入りません。しかし、インジェクターと呼ばれる眼内レンズを折り畳む器具を使用することで小さな切開から大きな眼内レンズを挿入することが出来ます。眼内レンズは水晶体嚢の中に入れると自然と中央に固定されるように設計されています。乱視用の眼内レンズや多焦点レンズでは、中央に眼内レンズを固定することがとても重要です。眼内レンズは、とても耐久性がありますので、通常眼内レンズの交換が必要になることはありません。

8白内障手術終了

手術時間は15分程度です。手術後、30分程安静に過ごして頂き、問題なければ帰宅可能となります。手術後3日間は、目を保護する必要がありますが、日常生活は通常通り送れます。車の運転は、ご本人が危なくないと思われれば可能ですが、今までと見え方が異なっており、眼鏡が合わなくなっていることもありますので、十分にお気をつけ下さい。温泉や土いじりなどの目にばい菌が入る可能性がある行為は、1ヶ月間避けて下さい。

9白内障手術後の診察

手術後は翌日、3日目、1週間後、1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後の頻度で診察が必要です。
他に眼疾患がない場合、視力は術後に白内障発症前の状態にほぼ完全に戻ります。術後、色合いが青っぽく見える、鮮やかに見えるといった印象を持たれる方が多くいます。白内障があると、黄色味がかった色合いになります。手術によって濁りがなくなると、色付きのメガネを外したようになるためギャップを感じますが、術後の色が本来の自然な色調です。

眼内レンズについて
~ライフスタイルに合わせた
レンズ選び~

白内障手術は、濁った水晶体を除去して人工の眼内レンズに入れ替える手術です。
眼内レンズは「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」に区別され、患者様のライフスタイルやお仕事、趣味などを考慮して、選ぶことで心地よい見え方や日常生活を実現します。

単焦点眼内レンズ

近く、もしくは遠くのどちらかにピントを合わせる屈折レンズです。
近くにあわせると、パソコンやスマホ、読書、料理などの手元は裸眼で良く見えますが、テレビや外出時、運転時などの遠くはぼやけます。普段遠く用の眼鏡を装用し、手元を見る時には眼鏡を外す必要があります。
遠くに合わせると、普段は裸眼で過ごせますが、手元にピントが合わなくなります。ですので手元用のメガネ、いわゆる老眼鏡が必要になります。
遠く、近くどちらに合わせても、眼鏡のかけ外しをすれば、日常生活で困ることは通常ありません。普段はメガネをかけておらず、老眼鏡を使用している方は遠く合わせる。普段からメガネをかけていて、手元は眼鏡を外す方は、近くに合わせることをお勧めしています。

多焦点眼内レンズ

近くと遠く両方にピントを合わせることができる屈折のレンズです。単焦点眼内レンズと比較すると、最初はピント合わせることに違和感がありますが、慣れれば快適になります。単焦点眼内レンズよりも、眼鏡を必要とする機会が減ります。これまで多焦点レンズでは、コントラスト感度低下や、ハロー・グレアといった見え方の質が落ちる点が問題となっていました。
眼内レンズは日々進化しており、3焦点レンズや焦点深度拡張型レンズなど、見え方の質を下げる問題を大幅に改善したレンズが出てきています。
当院では、多焦点眼内レンズを多種揃えており、より患者様に適するものを提供可能な体制を整えております。


詳しくは多焦点
眼内レンズのページを
ご参照ください。

白内障手術の費用

手術費用は保険適用となるため、患者様の負担割合により異なります。また、患者様の状態に応じて費用が異なるケースがあります。

  1割負担 3割負担
単焦点眼内レンズ使用(片眼) 約15,000円 約45,000円

※生命保険等に加入している場合、手術に対する給付金支払いの対象となる場合があります。ご加入中の生命保険会社にご確認ください。

高額療養費について

高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月(月の初め から終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。
ご自身が加入している公的医療保険に、高額療養費の支給申請書を提出または郵送することで支給が受 けられます。病院などの領収書の添付を求められる場合もあります。
ご加入の医療保険によっては、「支給対象となります」と支給申請を勧めたり、さらには自動的に高額療養費を口座に振り込んでくれたりするところもあります。どの医療保険に加入しているかは、保険証の表面にてご確認ください。

69歳以下の方の上限額
70歳以上の方の上限額

多焦点眼内レンズ

選定療養

レンズ パンオプティクス テクニスシナジー テクニスシンフォニー iSii
乱視あり(片目) 290000円 290000円 190000円 ○○円
乱視なし(片目) 270000円 270000円 170000円 ○○円
光学部 回折型 連続型

回折型

(EDOF)
屈折型
焦点 3 2 2 2

※追加で健康保険適用の一部負担金がかかります。

白内障手術後の注意事項

日常生活について

  • 手術当日の乗り物(車、自転車、バイクなど)の運転はご遠慮ください。
  • 手術後3日間は、出来るだけ事務作業を含むお仕事をご遠慮ください。
  • 手術後3日間の化粧、飲酒、喫煙はご遠慮ください。
  • 手術後1週間は、遠方への出張や旅行などはご遠慮ください。
  • 手術後1週間はパーマ、染髪はご遠慮ください。
  • 手術後2週間は肉体労働をご遠慮ください。
  • 手術後1ヶ月間は、ばい菌や埃、塵などを避けるために、温泉や土いじりは行わないで下さい。

運動について

  • 手術3日後から、散歩などの軽い運動ができます。
  • 手術2週間後からジョギングなどの運動ができます。
  • その他の激しい運動は、手術後1ヶ月間はご遠慮ください。

お風呂について

手術の翌日

  • 頭:洗髪不可です。
  • 顔:タオルで優しく拭ってください。
  • 身体:首から下のシャワーは可能です。

手術の3日後

  • 頭:洗髪可能です。目に泡などが入らないようにお気をつけ下さい。
  • 顔:タオルで優しく拭ってください。
  • 身体:首から下はお湯に浸かって入浴可能です。

手術の1週間後

  • 頭:普段通りに洗髪可能です。
  • 顔:普段通りに洗顔可能です。
  • 身体:普段通りの入浴・シャワーが可能です。

食事について

  • 特別な食事制限はございませんが、手術当日の飲酒はご遠慮ください。

白内障手術のリスク

白内障手術は比較的安全な手術ですが、100%安全な手術は有りません。いずれも重大な結果になる可能性はとても低いですが、リスクとして以下のようなものが挙げられます。当院では、十分に説明を行い、ご同意を得られてから手術へと進みます。僅かでも不安に思うことがある場合は、お気軽にご相談ください。

眼圧上昇

手術後、一過性の眼圧上昇が生じる場合があります。通常は数日で治まりますが、必要な場合は眼圧を下げる点眼や内服、点滴などを使用します。

感染症について

外科手術となるため、感染の危険はないとは言い切れません。2000人〜10000人に1人の割合で起きる事があり、とても稀ですが重大な合併症です。当院では万全の感染対策を行っていますが、手術後1週間は、特に手で触れないようにご注意ください。

後嚢破損

100人に1人程度の割合で硝子体圧が高い方や後嚢が弱い方に起こります。眼内レンズを水晶体嚢の中に通常固定しますが、後嚢が破けた場合は水晶体嚢の上に眼内レンズを固定します。水晶体嚢の破損が大きい場合は、眼内レンズを入れずに手術終了することもあります。眼内レンズが入っていないと、強い遠視になりピントが合わないため、ぼんやりとしか見えません。
後日、レンズ強膜内固定という方法で、眼内レンズを固定のための手術を行います。眼内レンズが問題なく入れば、通常の白内障術後と同定の視力まで回復します。

嚢胞様黄斑浮腫について

手術後に網膜の中心となる黄斑が腫れて視力が低下する場合があります。多くは術後の炎症が改善すると共に自然に良くなります。継続する場合には、点眼や注射を行う事があります。術後点眼の成分には、黄斑浮腫を予防する効果がありますので点眼は確実に行うようにして下さい。

水疱性角膜症

角膜内皮細胞は、角膜を透明に保つために重要な働きをしています。角膜が弱い方は、手術後に内皮細胞が減って角膜が腫れ、白濁する水疱性角膜症になる場合があります。手術前に角膜内皮細胞数を必ず確認して、どれくらいリスクがあるか調べ、手術後に角膜に腫れや濁りが出現していないか経過観察を行います。起きることは稀ですが、水疱性角膜症になった場合には、角膜移植が必要になります。

後発白内障について

手術後半年から数年が経ってから、眼内レンズを挿入した水晶体嚢と呼ばれる袋が混濁してしまう後発白内障が起きる場合があります。2−3割の可能性で起きますので珍しくはありません。放置すると徐々に視力が下がってきますし、自然に良くなることはありません。しかし、外来で比較的短時間でできるレーザー治療で濁りを退け視力を改善させることが可能です。

再手術について

眼内レンズを挿入する水晶体嚢と呼ばれる袋や、それを支える組織が弱い場合、手術によって袋が破れたり、レンズが外れてしまう場合があります。この場合は硝子体手術やレンズ固定のために再度手術を行う必要がありません。一時的に見えにくくなることがありますが、網膜などが問題なければ、最終的には視力回復が見込めるのでご安心ください。

乱視について

手術で水晶体の屈折を改善しても、角膜に乱視が残ることがあります。当院では、出来るだけ乱視が軽減できるように、切開する位置を工夫して手術を行なっています。乱視の種類によっては、乱視対応の眼内レンズを使用することもまります。術後、しばらくは乱視の度数の変動がありますので、数ヶ月は様子を見ます。落ついた段階で、乱視でお困りの場合には、乱視補正用眼鏡の装用などで対応します。

飛蚊症について

飛蚊症は、白内障の濁りよりもさらに奥にある硝子体の濁りによって起こります。白内障手術を行なっても硝子体の濁りは変わりませんので飛蚊症は残ります。白内障の濁りがなくなることにより視力が改善し、硝子体の濁りが良く見えるようになり、むしろ飛蚊症が悪くなったと感じる方がおられます。飛蚊症は生理的なものであり、通常は、治療の必要はありません。

白内障手術Q&A

白内障手術では、どんなことを行いますか?

加齢が原因で混濁した水晶体を、人工の眼内レンズと取り換えます。点眼で局所麻酔を行いますので、痛みは通常感じませんが眼が覚めた状態で行ないます。角膜周辺部を切開し、切開部の2.2ミリの穴から水晶体を取り出し、眼内レンズを挿入します。傷口は縫合しなくても問題無いように、工夫して作成します。手術時間は約15分です。

手術後は今まで通りの日常生活を送っても大丈夫ですか?

手術当日は、眼帯をつけて可能な限り安静にお過ごしください。 手術翌日には、ご家庭内でいつもと変わらず日常生活を送って頂けます。しかしながら、お仕事は3日程度お休みされることをお勧めしています。 車の運転は、危なく無いと思われれば、手術翌日からでも可能ですが気を付けて運転して下さい。手術翌日より首から下のシャワーは可能ですが、洗髪は3日後開始としています。メイク・喫煙・飲酒は1週間後から可能です。温泉や土いじりは1ヶ月控えて頂くようお願いしています。

手術は痛みを伴いますか?

点眼麻酔のみで、ほとんどの方は十分に痛みを緩和できます。痛みを感じる場合は、テノン嚢下麻酔を追加することもあります。局所麻酔の手術ですので起きた状態ですが、痛みを感じることはほとんどありません。

眼内レンズが混濁する可能性はありますか?

過去の眼内レンズでは、混濁を認めるものもありましたが現在は改良されています。眼内レンズの透明性は100年間保たれると言われており、混濁することはまずありません。眼内レンズを入れる水晶体嚢が混濁する後発白内障が起きることがありますが、この濁りはレーザーを用いて解消可能です。外来で比較的安全に行える治療ですし、一度治療してしまえば混濁の再発は通常ありません。

手術を受けた知人から「想像していたよりも良くならなかった」と聞きましたが実際はどうですか?

黄斑部疾患、緑内障、角膜疾患、糖尿病網膜症などが原因で元々視力低下がある場合、白内障手術を受けても「想像よりも良くならない」と思われる可能性はあり得ます。また、白内障の程度が軽い場合は、手術前後での差が少なく期待よりも良くならないといったこともあります。術後視力は、予想できないところがあり、個々の症例によって状況が異なりますので、ご不安があるようでしたら、遠慮なくご相談下さい。

両目の白内障手術を同時に受けられますか?

技術的には可能ですがお勧めはしていません。両眼手術を行うと手術直後は見えにくく生活に支障をきたすことがあるためです。当院で両眼手術を行う場合は、通常1−2週間空けてから反対側の手術を行います。その方のご事情に合わせて、日程は調整させて頂きますので、ご相談下さい。

眼鏡はいつ作ったら良いですか?

白内障手術をしてから、眼内レンズの位置が安定するまで3ヶ月程度かかります。そのため、早期に眼鏡を合わせても、度数が変化てすぐに合わなくなります。眼鏡を作る時期は、度数が安定する術後3ヶ月頃をお勧めしています。単焦点レンズを使用した場合は、遠くに合わせた方は近く用の老眼鏡が、近くに合わせた方は遠く用の眼鏡が必要になります。