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近視進行抑制治療をご存知ですか?

小中学生のお子さんをお持ちの保護者の方から

「近視の治療があるって聞いたんですが、どんな事をするのですか?」

「今の内にやっておいた方が良いのですか?」

などのご質問を頂戴する事がありますので、今回は近視進行抑制治療について、眼科専門医の立場からお伝えしたいと思います。

 

■近視とは

近視になると、眼が悪くなる、遠くの物が見づらくなる、という事は皆さんご存じですが、なぜそうなるのか、という所をご存じの方は少ないように思います。

近視は、簡単に言うと成長に伴い目が長くなることでピントが手元にしか合わなくなる状態の事を言います。目が長くなると網膜の手前でピントが合ってしまうため、近視は遠くの物がぼやけて見ます。

目が長くなりすぎると、網膜面積が広がり、網膜が引き延ばされてしまうため、構造的に弱い所ができやすくなります。若い方は近視が強くても、眼鏡やコンタクトで矯正すれば生活に支障ありませんが、近視が強いと50代、60代になった時に、緑内障や白内障などの様々な目の病気になりやすくなります。

ですので、眼科医としては、将来の病気を予防するために、できるだけ近視は少ない方が良いと考えています。

 

■見えづらいだけでは無い近視のデメリット

近視になればメガネかコンタクトレンズを使用し、視力を矯正すれば良いと長年思われていたのですが、近年では近視がある事で様々な眼病のリスクが高まる事がわかってきています。

 

近視でリスクが高まる疾患の例

・緑内障

・網膜裂孔、網膜剥離

・白内障

・周辺部網膜変性

・近視性脈絡膜新生血管

近視が強くなるにつれ発症リスクが高くなる事がわかってきたため、近視の進行を抑制する事の重要性が認識されてきました。

しかし、これらの疾患は、50代以上で発症してくるものであるため、若い世代には馴染みが薄い疾患です。治療が必要な学童期の本人にとっては遠い未来の話になってしまうため、親御様のご理解が不可欠です。

 

眼軸長は一般的には18~20歳で伸びが止まるとされており、一度伸びると短くなる事はありません。これは言い換えると、眼軸長が今現在伸びている学童期に進行を抑制しなければ大人になってからでは治療する事ができないという事です。

治療開始時期が早いほど将来の伸びが抑制できますので、医学的には治療開始は早いほど効果が出やすく、早い子ですと6歳頃から治療を開始することもあります。

 

■始めやすい近視進行抑制治療

国内で広く行われている治療は、

・低濃度アトロピン点眼治療(リジュセア、マイオピン)

・オルソケラトロジー治療

の2種類があります。(どちらも自費治療であり、全額自己負担)

 

このうち低濃度アトロピン点眼治療は、副作用ができるだけ出ないようするために薄い濃度になされています。点眼を寝る前に1日1回さすだけで、治療の負担が小さく始めやすい治療だと思います。

以前はマイオピンという点眼を輸入して使用していたのですが、2025年4月から参天製薬がリジュセアという国内承認が得られた点眼を発売したため、治療を開始する方が増えてきています。

 

学校健診で近視を指摘されたお子さんや、既に近視が進行しはじめているお子さんをお持ちの保護者の方はぜひ検討していただければと思います。

当院ではリジュセアも扱っておりますので、お気軽にご相談ください。

オルソケラトロジーも扱っていますので、そちらのご相談でも構いません。お気軽にご来院ください。