緑内障のレーザー治療って?
「緑内障にレーザー治療があるって聞いたのですが?」
「レーザー治療をすれば点眼が不要になるって本当ですか?」
など、緑内障のレーザー治療に興味をお持ちの方が増えているように感じています。
そこで、今回は眼科専門医の立場から緑内障のレーザー治療(SLT:選択的レーザー線維柱帯形成術)についてお伝えしたいと思います。
■そもそも緑内障のレーザー治療とは
緑内障レーザー治療は、SLT(Selective Laser Trabeculo plasty)と言われるもので、眼圧の出口にある繊維柱帯にレーザーを照射することで、流れを良くして眼圧を下げます。
流れの詰まり具合によって、眼圧下降効果には個人差があります。
手術とは異なり外来で比較的安全に行うことができます。
10分程度で行うことができ、施行時にチクチクした痛みを感じることや、治療後に光に眩しや痛みを感じることが時にありますが、1週間程度で治り長期的な合併症はほとんどありません。
■レーザー治療で点眼が不要になる?
レーザー治療を行った全ての人が、点眼が不要になるわけではありませんが、点眼を使用しなくても眼圧が低い状態を維持できる方もいらっしゃいます。
治療前に効果を予測することは難しく、中には眼圧があまり下がらない方もいますが、
・繊維柱帯の目詰まりが取れることで眼圧が上がりにくくなる効果が期待できる
・目の負担(侵襲)がほぼ無い
ことからこの治療を第一選択とした論文も出てきています。
(海外で発表された後、国内でも同様の論文が発表されています
正常眼圧緑内障に対する第一選択治療としての選択的レーザー線維柱帯形成術の有用性. 新田 耕治, 杉山 和久, 馬渡 嘉郎, 棚橋 俊郎. 日本眼科學会雜誌 2013年117号4巻, p.335-343)
適切なタイミングで眼圧をしっかり下げないと、5年後、10年後に視野障害が進行し困る事になりますので、後悔の無いよう早期の治療をお勧めする事があります。
■レーザーを行うタイミング
・高眼圧が継続する場合
・点眼での眼圧下降が不十分な場合
・視野障害が悪くなった場合
などがまず考えられます。
また、病状が安定していている状況でも、
・複数の点眼が負担になっている
・お仕事の関係などで毎日の点眼が難しい
・点眼を忘れてしまうことがある
・妊娠や授乳などで薬剤を使いたくない
といった方は積極的に検討しても良い治療だと思いますので、緑内障の点眼にお困りの方は一度ご相談ください。