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学校健診と近視

学校健診のシーズンになり、お子様が学校健診の紙「視力検査結果のお知らせ」を持って帰ってきているのではないでしょうか?
今回は学校健診の視力検査と視力低下・近視についてお伝えしたいと思います。

学校で行う視力検査は「370(サンナナマル)方式」と呼ばれる検査です。
これは、教室の後ろの席からでも黒板が見えるか、など学校生活を送る上で支障が無いかを0.3,0.7,1.0の視標を用いて調べる検査方法です。
眼科の視力検査のように0.1刻みの結果では無く、「A」「B」「C」「D」の4段階の結果がでます。

■学校で行う視力検査の結果
A:視力1.0以上に相当
B:視力0.9~0.7に相当 学校生活にはほとんど支障はない
C:視力0.6~0.3に相当 授業に多少の影響が見られるため、何らかの対策が必要
D:視力0.2以下に相当 最前列の席でも黒板が見づらく、早急な対策が必要

医学上、「A」以外は正常な視力に相当せず、近視や乱視、遠視などがあると考えられます。そのため、「A」以外の場合は、保護者の方向けに眼科受診を勧める紙が渡されるのです。

■視力低下と近視

視力が低下する原因は様々なものがありますが、子供(学童期)の視力低下によく見られる原因は近視の進行です。
近視は、眼軸長(眼球の前後の長さ)が長いことや、屈折力が強いことで、遠くから入ってきた光が網膜の手前でピントが合う状態のことを言います。
近くのものを見る時は網膜でピントが合うのですが、遠くのものを見る時はピントが網膜上で合わないため、ぼやけて見えるようになります。

左が正視、右が眼軸長が伸びたことによる近視のイメージ図です。

眼軸長(目の前後の長さ)が伸びる、と言われても想像しづらいかもしれませんが、身長が伸びるように、体の成長に伴って眼軸長も伸びる子供がいるのです。
一度伸びた眼軸長は短くなることはありません。
よく「視力は一度低下すると元には戻らない」と言われるのはこのことが理由です。

眼軸長が伸びるのは10代までが著しく、20代後半になるとほとんどの人が止まります。
実は、この眼軸長が伸びる時期に適切な治療を行うことで、近視の進行を抑制できることがわかっています。
近視が強くなると、単に見えづらいだけで無く、緑内障や網膜剥離のリスクが高まることがわかっていますので、お子さんが近視の場合は積極的に近視進行抑制を検討してあげていただければと思います。

近視進行抑制治療について詳しくはこちら

編著:倉敷てんげん眼科院長 眼科専門医 岡安隆