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コンタクトレンズの適正な利用方法とは

夏休みに入り、コンタクトレンズデビューを希望する方が増えています。

見え方の改善(近視矯正)以外にファッションとしてもカラーコンタクトを楽しむ方が増えており、より一層身近な物になっているように思います。

その影響でコンタクトレンズを原因とした眼の不調を抱えている方が増えていますので、今回はコンタクトレンズの適切な使用方法を眼科専門医の立場からお伝えしたいと思います。

 

■コンタクトレンズは何時間まで使用して良い?

コンタクトレンズの素材や、個々の眼表面の状態が異なるため一概には言えませんが、毎日使用する場合は1日あたり8時間以内であれば安全に使用できます。毎日10時間以上使用と眼にトラブルが起きる可能性が出現し、使用時間が長くなるほど顕著にトラブルの可能性が高くなります。加齢に伴い、涙液の分泌が低下したり、傷の治りが悪くなってきますので、

今まで長時間続けてもトラブルが起きなかったのだから今後も大丈夫。」という思い込みにはとても注意が必要です。

眼の健康を考えると、コンタクトレンズを使用する場合は眼鏡を併用し、できるだけコンタクトレンズの使用時間を短くした方が良いでしょう。黒目に傷がつくなどの眼の病気になると、コンタクトレンズが使用できなくなりますので、普段から眼鏡を併用することをお勧めします。

毎日10時間以上使用する方は、お酒を飲む人が休肝日を設けるように、コンタクトレンズを使用しない日を意識的に作って目の表面を休めるようにしましょう。

■コンタクトレンズを原因とする目の不調

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  • ・角膜パンヌス

コンタクトレンズの長時間使用などで角膜が酸素不足になり、結膜(白目)の血管が角膜(茶目)に侵入してくる状態です。自覚症状はありませんが、角膜の酸素不足が長期間続いていたサインですので、トラブルが起きる可能性がとても高い状態です。

茶目の中心にある瞳孔(黒目)まで血管が伸びることはまれですが、瞳孔まで伸びると見え方が低下します。

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  • ・角膜内皮細胞の減少

酸素不足になると、角膜の一番内側にある角膜内皮細胞が減少します。

角膜内皮細胞は角膜を透明に保つ働きを担っており、この細胞が減少すると角膜の透明性が失われます。角膜内皮細胞は再生しないため、角膜の透明性が失われると角膜移植が必要となります。

コンタクトレンズの長時間装用が原因で角膜移植が必要となるケースはほとんど無いと思いますが、いずれにしても長時間使用は避けた方が良いでしょう。

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  • ・角膜潰瘍と角膜混濁

角膜に細菌などが入り、角膜が障害される状態が角膜潰瘍です。

管理が悪いコンタクトレンズの使用が原因となることがあり、「20代の角膜潰瘍発症者のほとんどがコンタクトレンズ使用者であった」という報告もあります。

角膜潰瘍は重症化すると角膜に濁りが残ります(=角膜混濁)

濁りが発生する場所によって見え方への影響が異なりますが、中心に近いほど見え方が悪くなります。角膜の濁りは改善が難しいため、濁りが強い場合は角膜移植が必要となります。コンタクトレンズは適切に管理し、長時間の使用を避けた方が良いでしょう。

 

今回はコンタクトレンズの適正使用についてお伝えしました。

近視が強い方や日常的にカラーコンタクトを使用している方は、コンタクトレンズが無ければ生活ができないと感じている方もいると思います。

適正に使用すれば安全に長期に渡って使用可能ですので、コンタクトレンズを使い続けるためにも適正に使用しトラブルを起こさないようにしましょう。

快適な生活が維持できるよう、眼鏡なども上手に併用し、定期的な眼科管理の元で適切に使用していたただくことを切に願います。